密語橋と高子沼

密語橋(ささやきばし)

福島県福島市、県庁の近くにある、杉妻会館という建物の中に、「密語橋」があります。
建物を入るとすぐにロビーがあり、その左手には日本庭園を望むことができます。

 
よく見ると、その庭園の真ん中あたりに、小さな石橋があるのですが、これが密語橋(ささやきばし)です。

 

江戸時代には福島城の南西にあった橋で、現在は杉妻会館の庭園内に再現されています。

現在の密語橋は石橋ですが、かつての橋は木橋だったそうで、こんな伝説が残っています。

”その昔、”おろす”という美しい娘がおりました。おろすの所に、あるときから若侍が通ってくるようになりました。
しかし、あるときおろすは若侍の様子がおかしいのに気がつき、若侍の袴のすそに、小針に糸をつけた物をつけておきました。
朝になり、その糸をたどっていくと、小針は笹木野字折杉にある大杉に刺さっていたのでした。驚いたおろすは、村の人々に相談しました。そして、この化け杉を切り倒す事になったのです。

しかし、切るとなっても、大杉はなかなか一日で切る事ができません。
しかも不思議な事に翌朝には、前日に切ったはずの切り口がきれいにふさがっているのです。

こんなことが繰り返されるので、村人は大杉と仲の悪いヨモギの精に相談してみました。
すると「木っ端を焼いてしまえばよい」と助言をくれたのです。
早速村人が教えられた通りにすると、切り口が塞がる事がなくなり、ようやく大杉を切り倒すことができたのですが、ところが今度は切り倒した大杉がびくともしないのです。
占わせたところ、「大杉の精が娘との別れを惜しむ故であるから、かの娘に命じよ」という結果がでました。おろすが囁くと、ようやく大杉は動き出したのでした。

この大杉で福島城内に橋を架けたのですが、深夜になると人影もないのに、橋の上で誰かのささやく声がするというのです。
これは大杉の精が、おろすを慕ってささやくのだと噂になった為、城主が供養してやると、その後は囁き声は止んだのだといいます。”

 

゛福島城内で深夜に囁く橋に、「これは大杉の精が、おろすを慕ってささやくのだ」と噂になった為、おろすに頼むことにしました。おろすも杉の精の若者の為ならという事で、美しい着物を着て橋の上で、「これからは、ささやかないでおくれ」と何度も言ってなだめた為、杉の精もそれからはパッタリと黙ってしまったといいます。しかし、おろすは若者を忘れる事が出来ずに、橋の上で死んでしまったそうです。”

というラストの部分が違うバージョンもありました。

杉妻会館のロビーには「密語橋」の説明板があり、ガラスの扉から庭園に出て散策する事もできます。

私が訪れた時はあいにくのお天気でしたが、雨に濡れた石橋に、「密語橋」の文字を見る事ができました。

もちろん、今は囁かないそうです。二代目ですし、今は石ですしね。

おろすは、
「ささやいて 曳きてかけたる橋なれば
あらさで渡れ 信夫うき人」
と詠んだといわれてます。

 

 

高子沼(たかこぬま)

現在は整備され、釣り人が多く訪れ、散策にも適した高子沼ですが、昔はもう少し近づきがたい場所ではありました。

 

今は廃墟となった遊園地を臨むことのできる高子沼ですが、実は「アブナイ入道」という妖怪の伝説が残る場所なのです。

 

“昔々、保原のあたりの村々に、毎晩夜更けになると
「アブナイ、アブナイ」
という声が聞こえてきたそうだ。
始めは遠くの方から僅かに聞こえて来るのだが、近づくにつれてだんだん大きくなり、やがてまた遠ざかって消えていく。
村人たちは、その得体の知れない声に恐れをなし、夜になると家の戸を硬く閉ざして息を潜めていたそうだ。
ところがたいそう元気のいい若者がいて、ある夜この声の正体を突き止めようと、夜更けに物陰に隠れ「アブナイ」の来るのを待っていた。
やがて夜も深まってきた頃、その日も遠くの方から「アブナイ、アブナイ」という声が聞こえて来た。
見るとそれは、墨染めの衣を纏った大入道であった。若者がそっと後をつけてみると、大入道の姿は高子沼の堤防の辺りでプッツリと消えてしまった。
不思議に思い大入道の消えた辺りへ近づいてみると、水際に今にもすべり落ちそうになっている壷があるのを見つけてこの壷を取ろうとしたところ、水の中から何者とも知れぬ物がガブリと若者の片腕を噛み切ってしまった。
しかし若者は驚きながらも屈せずにその蓋を取ってみると、なんと中には砂金がぎっしりと詰まっていた。

おそらく金の精がこの壷が沼に落ち無になるのを恐れ、毎晩「アブナイ、アブナイ」とその危険を知らせていたのであろう。
そして、その砂金が人の手に渡るのを嫉んだ高子沼の主が、若者の片腕をもぎ取ってしまったのではないかということだった。
その後、その金がどうなったのかは、誰も知らない。

「保原町町史」参考”

 

最新情報は公式ページなどでご確認ください。

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