兵庫県芦屋市 鵺塚 鵺塚橋
兵庫県芦屋市の芦屋公園内に、京都より丸木舟で流された鵺の祟りを鎮める塚があります。
京都から川を流された鵺の亡骸は、大坂の都島に一旦漂着し、それから芦屋へと流れてきたのだといいます。
亡骸とはいえ、触る者全てに祟りを及ぼし、終いには地域一帯の全ての人々に災いを成したという伝説が残っている所などは、さすが鵺という所でしょうか。
手前が歩道、鵺塚は左側の隅に見える石の塔です。
芦屋公園は阪神本線芦屋駅から徒歩10分と、とても探索に訪れやすい場所にあります。
鵺塚は公園の道路に面した所にあります。
芦屋交番の裏なので、比較的わかりやすい場所でした。
これが鵺塚。
隣には鵺伝説を記した看板が立てられています。こういうのは探索に訪れる側としてはとてもありがたいですし、地域の人に愛されているんだなと感じます。
鵺塚の横に立てられた看板より。
ぬえ塚の伝説
「およそ600年ものむかし源頼政が二条城にまねかれ、深夜に宮殿をさわがしていた怪鳥を見事に射落とした。
それはぬえ(鵺)といって、頭はサル、体はタヌキ、手足はトラ、尾はヘビという奇妙な化鳥であった。
その死がいをウツボ舟(丸木舟)にのせて、桂川に流したところ、遠く大坂湾へ流され芦屋の浜辺に漂着した。
浦人たちは、恐れおののき芦屋川のほとりに葬り、りっぱな墓をつくったという。
ぬえ塚伝説は、「摂陽群談」「摂津名所図会」などに記されているが、古墓にまつわる伝説の一つと思われる。
現在の碑は、後世につくられたものである。平成17年3月
芦屋市教育委員会
この看板によると鵺は一貫して「化鳥」になっていますが、描かれている姿は一般的な鵺のイメージである「頭はサル、体はタヌキ、手足はトラ、尾はヘビ」であり、どこにも鳥の要素が含まれていないのがまた面白いと感じました。
これは元々地元に伝わっている伝承としては「化鳥」だったものが、‘鵺‘というイメージに統合されたのか、それとも元来、鵺とは夜に鳴く鳥のことであり、『古事記』『万葉集』にも名が見られる。
この鳥の正体は、現在ではトラツグミのこととするのが定説であるそうなので、ひょっとしたらその辺りから「化鳥」という言葉が出てきたのかもしれないですね。
この看板によると今の鵺塚は「後世につくられたもの」とありますので、比較的近年の物なのかもしれません。
いつごろ作られたのか、などの記録は書かれていませんでした。
鵺が葬られたという場所も、ひょっとしたら別の場所にあるのかもしれません。
鵺塚にちなんだ橋が、鵺塚のすぐそばにありました。
鵺にちなんだ、というよりは鵺塚がそばにあったのでこの名前になったのでしょうか。
橋自体は新しい物でしたが、橋の架かっている川が鵺が流れて来たという芦屋川です。
鵺が流れてきたという芦屋川
どこへ探索へ行ってもそうですが、「かつてここに○○がいた」と伝わる場所へ行くと、当時はどんな場所だったのか、どんな人々がいたのだろうかと、想像するだけで楽しいです。
ちなみに芦屋川ですが、川辺に降りて散策する事ができたので、さっそく降りてみました。
川はとても整った印象で、川の左右には散策に適した河原というか、遊歩道のような物がありました。
川の幅もそれ程大きくはなく、長い年月の間に鵺伝説の当時からは大きく姿を変えてしまったのだろうと予想ができます。
「この川を鵺が流れてきたんだなぁ」と散歩をしながら歩くにはとてもいい場所でした。
鵺(トラツグミ)の鳴き声(Youtube)
「鵺塚」 住所 兵庫県芦屋市浜芦屋町5
2009年訪問
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